千本松牧場へ
お昼を食べたあと、今度は妹家族の車に乗せてもらい、次の目的地の千本松牧場を目指すことにした。
車で走り抜ける那須の風景は、とても美しかった。私の実家も田舎にあるが、山の多いところなので平地が少ない。「あなたの実家も同じようなものだろう」と思われそうだが、この辺は私の田舎にくらべ平地が多く、同じ緑が多い風景でもやっぱり全然違うのであった。
美しい田園地帯のところどころに、トトロの中に出てくるようなこんもりとした緑の森があったりして、それがなんとも懐かしいようなホッとする景色をつくっていた。このような美しい景色を見て、本当に感動する私であった。
そしてここ何年か東京の都心に近いところに住んでいる私たちは、この景色を見て癒されている自分たちに気がついた。私は元々は田舎者なので、緑なんて見慣れていたはずなのだが、ここ数年都会の空気のほうに慣れ親しんでしまったのかもしれない。のどかで緑がまぶしい田舎の景色を見て、こんなに心が満たされるとは思ってもみなかったのであった。何年か前までは緑があるのが当たり前の生活をしていたので、これは私にとって初めての感覚であった。
たしかに東京での生活は、とても楽しい。便利だし何でもあるし、楽しくて刺激的なことがいっぱいあるのだ。ここ数年、このような都会生活を楽しんでいた私であったが、妊娠して考え方が少しずつ変化してきたせいか、ふと那須の風景を見て、田舎の良さを再認識したのであった。
外のまぶしい風景に感動しているうちにも、心地よい車の震動と甥っ子の子守りの疲れでいつのまにか眠ってしまったらしい。気がつくと、那須にある“千本松牧場”というところに着いていた。
駐車場は、大きな杉(?)並木が心地よい木陰をつくっているところにあり、いかにも避暑地というような感じのところにあった。
駐車場にはたくさんの車が停まっており、牧場に向かっての道もたくさんの人が歩いていた。那須塩原の駅に着いてから今まで、想像以上の暑さでまいっていたのだが、これなら涼しそうだ。
車の外に降りてみると、大きな杉並木のお陰でとても風が爽やかだ。さっきよりも大分涼しいと喜んだのもつかの間、木陰から日向に出た途端、やはり照りつける暑さに早くも脱水になるのではないかと思うほどであった。
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